【あいしてくれてありがとう】さみしさとは、孤独とは?愛とは何かを知る、ちょっぴりせつないティラノサウルスシリーズ第七巻。【絵本】【4歳 5歳 6歳】
目の見えない、ひとりぼっちの小さな恐竜パウパウサウルスは、ひとりで穴の中に隠れて生活していましたが、ある日、大きな声のおじさん恐竜と出会い、一緒に暮らすことになりました……(あいしてくれてありがとう ティラノサウルスシリーズ 7 宮西達也/作・絵 ポプラ社)
この本のイメージ 恐竜☆☆☆☆☆ ファンタジー☆☆☆☆☆ 孤独とは?☆☆☆☆
あいしてくれてありがとう ティラノサウルスシリーズ 7 宮西達也/作・絵 ポプラ社
<宮西達也>
1956年、静岡県生まれ。日本大学芸術学部美術学科卒業。作品に、「おまえうまそうだな」(けんぶち絵本の里大賞)「おれはティラノサウルスだ」「あいしてくれてありがとう」(けんぶち絵本の里大賞・びばからす賞)「帰ってきたおとうさんはウルトラマン」「パパはウルトラセブン」(ともにけんぶち絵本の里大賞)「うんこ」(けんぶち絵本の里大賞・びばからす賞)「大きな絵本 にゃーご」(第38回造本装幀コンクール展読書推進運動協議会賞)「ちゅーちゅー」(けんぶち絵本の里大賞)「きょうはなんてうんがいいんだろう」(講談社出版文化賞・絵本賞)「ふしぎなキャンディーやさん」(日本絵本賞・読者賞)など多数ある。
初版は2008年。「あいしてくれてありがとう」は「おまえうまそうだな」にはじまる「ティラノサウルスシリーズ」の第7巻です。
このお話、基本コンセプトは同じなのすが、続き物なのかそれぞれが違うお話なのか、そこらへんはあいまいになっています。どうやら第4巻以降は続いていなそうです。
もし、最初からお読みになりたい場合は「おまえうまそうだな」からお読みになるといいでしょう。
「おまえうまそうだな」のレビューはこちら↓
今回のお話は……
あるところに自分勝手でわがままでのすごく強くておそろしいティラノサウルスがいました。
誰も彼にかなわないので、ティラノサウルスは毎日やりたいほうだいに生きてきました。
ある日、ティラノサウルスがふと寂しさを感じた夜、彼が休んでいた岩の穴から、小さな恐竜パウパウサウルスが顔を出しました。
「わたしもともだちがいなくてさみしい……わたしたち にてるね」
と近寄るパウパウサウルスは、目が見えなかったのです。
その日からティラノサウルスとパウパウサウルスはいつも一緒にすごしました。パウパウサウルスができないことをティラノサウルスが手伝ってあげました。
ティラノサウルスがパウパウサウルスのために採ってきた赤い実を食べているうちに、だんだんパウパウサウルスの目がみえるようになってきました。
ところが、そこに大地震が起きて……
……と、いうのがあらすじ。
ひとりぼっちでさみしかったティラノサウルスとパウパウサウルスでしたが、彼らは一緒に助け合って暮らすことでさみしくなくなりました。
その支えあった記憶はパウパウサウルスの心に温かい光となってずっと輝き続けることとなったのです。
大切な人が亡くなっても、愛情は消えません。物理的にその人の存在がこの世から消えても、心の中にいつまでも生き続けるのです。
誰の役にも立たない、目の見えない孤独なパウパウサウルスをかけがえのない存在として大切にしてくれた友だち、テイラノサウルスの愛情がその後のパウパウサウルスの一生を支え続けるのでした。
人の価値は「役に立つか立たないか」ではないこと、孤独とは物理的にたくさんの他人と一緒にいないとかではないこと、そして友情、愛情とはなにか、生きる意味とはなにか、など多くのメッセージを伝えてくれる絵本です。
文章は見開きに最大で二十行前後、文章のボリュームはややありますが、すべてひらがなとカタカナで書かれていますので、五十音が読めればひとりでコツコツ読みきることができます。もちろん、読み聞かせにも。
寒い季節に心あたたまる絵本です。
クリスマスプレゼントに、なんでもない日のおみやげに、大切な人へのプレゼントにもおすすめです。
意地っ張り恐竜のファンタジーをぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
とてもいいお話なのですが、最後に大地震のシーンがあり、ティラノサウルスはパウパウサウルスを助けるために命を落としてしまいます。
この国は地震が多い土地なので、もし、地震にトラウマのあるお子さまや保護者の方がいらっしゃる場合は、まずは大人の方がお読みになり、ご判断されてください。
あえて必要とされる方もいらっしゃると思います。
必要な方に届きますように。
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