【どじ魔女ミルの大てがら】人気魔女ドラマシリーズの原作の第3巻。今年も大失敗と思いきや……【ミルドレッドの魔女学校】【小学校低学年以上】
失敗ばかりしているミルドレッドも無事に二年生になりました。ところが、またしても些細なことでエセルと喧嘩になってしまい、仕返しにとんでもない目に遭ってしまいます。ところが……
この本のイメージ 魔女☆☆☆☆☆ スクールライフ☆☆☆☆☆ ドタバタコメディ☆☆☆☆☆
どじ魔女ミルの大てがら ミルドレッドの魔女学校 3 ジル・マーフィ/作・絵 松川真弓/訳 評論社
<ジル・マーフィ>
イギリスの児童文学作家。代表作は「ワーストウィッチ」(1974年)シリーズで、日本では「ミルドレッドの魔法学校」として翻訳されている。「ミルドレッドの魔女学校」では挿絵も手がける。
大人気ドラマシリーズ「ミルドレッドの魔女学校」の原作、第3巻です。原題はA Bad Spell for the Worst Witch.初版は1982年。日本語版の初版は1998年で、2002年に新装版が出版されました。
ちょっとハリー・ポッターに似た雰囲気がありますが、こちらのほうがずっと古い物語のようです。
魔法学校もののファンタジーって、イギリスでは伝統あるジャンルだったのですね。
今回のお話は、なんとか二年生に進級したミルドレッドですが、ひょんなことから、犬猿の仲のエセルと大喧嘩してしまいます。これについては、ミルドレッドも悪いのですが、どうしてもエセルとはそりがあわないようです。
ところが、エセルは仕返しにミルドレッドにとんでもない魔法をかけてしまいます。
おかげで、ミルドレッドは誰にも助けてもらえずに大ピンチ。ところが、そのとき、彼女と同じように困っているおじいさんに助けられ、仲良くなって……と言うのが今回のあらすじ。
ミルドレッドが助かるまでも大変なのですが、これはまだ助けてくれる友達たちがいてどうにかなりました。
ところが、彼女が見ず知らずのおじいさんを助けるために動き出そうとしたとき、誰も助けてくれないのです。
そりゃ、ミルのことは友達ですけど、よく知らない、いるかいないかもわからないおじいさんのために、頑張ってくれる人がいないのは無理も無いことです。でも、ミルはあきらめない。
ミルドレッドのいいところは、恩を忘れないところと困っている人を見過ごさないところ。そして、いったん助けると約束したら、それを守るところ。この約束なんて、ミル以外誰も知らないのにね。
これは得がたい美徳だと思います。
それ以外は、そりゃあもう、いろいろと欠点だらけなんですけども。
今回は、タイトルにあるように、最後はミルドレッドが報われるお話なので、途中ハラハラすることがあっても、安心して読めます。
字は程よく大きくて、漢字には全部振り仮名がふってあるので、ひらがなさえ読めれば、大丈夫。
絵本を卒業したばかりの小学校低学年以上向けですが、もちろん読み聞かせしてもたのしいですし、かしこい子なら、ひらがなを追ってこつこつ読めるでしょう。
EテレやNETFLIXのドラマのファンならぜひ。
カックル先生とハードブルーム先生の役者さんの再現度がすばらしい。
イーニッドが原作では白い肌金髪の女の子ですが、それ以外はかなり原作の雰囲気を踏襲しています。(原作は挿絵も作者のジル・マーフィが担当しています)
こういう「ドジだけどめげない女の子」系のお話って、今は逆に少なくなってしまったのかもしれませんが、やっぱり、気持ちがスカッとしていいですねえ。
現実の社会は強くないと生き残れないところもあるのかもしれませんが、困っている人や弱い人を見捨てずにがんばる人のお話は励まされます。
ミルドレッドは、欠点のほうが多く、落ち込むことや悩むこともわりとあって、ウジウジしたり、暗いときもあります。
それだけなら何の魅力のない子なんですが、とにかく、困っている人をほっとかない。いざと言うときにぐぐっと力を出す子なんです。
それがなかったら、ミルはただの問題児。けれど、えてして、ふだん問題児と言われてる子のほうが、いざという時に他人のために力を出すのかもしれません。
ダメ魔女のミルドレッドですが、今回は、どんな魔女もできない大手柄を立てました。彼女の成長が楽しみです。
ミルドレッドのシリーズは、本国イギリスでは8巻、日本では4巻まで翻訳されています。かなり長いこと翻訳が止まっているのですが、全部翻訳されるといいなあ。
楽しみに待っていますので、よろしくお願いします!(と、テレパシー)
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はほとんどありません。明るくゆかいな魔女っ子スクールライフです。
ただし、カエルが出てきます。苦手な方はご用心。
読後は、バターとメープルシロップたっぷりのホットケーキと熱々の紅茶でティータイムを。絶対に食べたくなるのでご用意くださいね。
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