【ハリー・ポッター】今さら読めない?世界的ベストセラーのファンタジーシリーズ第2巻。【ハリー・ポッターと秘密の部屋】【小学校中学年以上】

2024年3月17日

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ハリー・ポッターと秘密の部屋 J.K.ローリング/作 松岡佑子/訳 静山社

おじさんの家で辛い夏休みをおくっていたハリーのもとに、奇妙な生き物が訪ねてきます。「ハリー・ポッターはホグワーツに戻ってはいけません」…… ロンに助け出され、学校に向かったハリーですが、謎の怪事件に巻き込まれます……

この本のイメージ 謎の敵☆☆☆☆☆ 新キャラ続々☆☆☆☆☆ 過去からの攻撃☆☆☆☆☆

ハリー・ポッターと秘密の部屋 J.K.ローリング/作 松岡佑子/訳 静山社

<J.K.ローリング>
 イギリスの小説家兼脚本家。1965年生まれ。エクスター大学にてフランス語と古典を専攻。処女作「ハリー・ポッターと賢者の石」でスマーティーズ賞他を受賞する。 

 世界的ベストセラーとなった、「ハリー・ポッター」シリーズの第2巻「ハリー・ポッターと秘密の部屋」。原題はHarry Potter and the Chamber of Secrets. 初版は1998年。日本語版初版は2000年です。

 ハリー・ポッターシリーズは、ホグワーツ魔法学校に入学したハリーの学園生活と「名前を言ってはいけないあの人」ヴォルデモートとの戦いを描いた物語です。

 イギリスの新学期は九月。毎回、お話は新学期に始まり、学年が終わって夏季休暇をすごしに家に帰るところで終わるため、8月~9月の頭は、ハリー・ポッターを読むのにぴったりの季節なのです。

 「ハリー・ポッターと秘密の部屋」は、二年生になったハリーの物語。冒頭ではいつものように、ダーズリー家で辛い思いをするハリーのシーンではじまります。

 というか、コメディ調で書かれてはいますが、もはやこれは虐待ですよ。読み返してみて、「ここまでひどかったか……」と、かなりハリーが気の毒になりました。

 部屋に閉じ込められて、餌に近い食事を与えられるだけの状態から、ロンたちに助け出されてハリーはウィーズリー家へ。そして、そこからホグワーツに向かいます。

 しかし、ホグワーツでは、ハリーにだけ不気味な声が聞こえたかと思うと、生徒たちが次々と襲われ石化する怪事件が連続。いったい、犯人は誰なのか、そして、ハリーたちは事件を解決できるのか……というのがあらすじ。

 2巻から登場する新キャラは、ロンの家族、ウィーズリー一家。ロンの両親と妹のジニー、きらりと歯が光るうさんくさい魔法使いギルデロイ・ロックハート、ドラコの父ルシウス・マルフォイ、屋敷しもべのドビー、トイレの幽霊「嘆きのマートル」などなど……

 不気味な怪事件の真相、50年前の事件、若き日のヴォルデモートの謎など、明らかになることもあれば、新しい謎も生まれます。ハリーは、自分が本当にグリフィンドールにふさわしいのか、自分自身の本質には悪がひそんでいるのではないかと悩むようになります。一年生のときに「組み分け帽子」から「スリザリン」とささやかれたことが心に残っていたのでした。

 友人たちが一人、また一人と襲われて石になり、ついにはハーマイオニーまでが石になってしまうという展開ですが、それと並行して、魔法使いたちのスポーツ、クィディッチの試合や、楽しい学園生活も描かれています。

 「ハリー・ポッターと賢者の石」のレビューでも書きましたが、世界の作りこみがしっかりしていて、魔法の設定や、魔法学校のカリキュラムだけでなく、魔法省などホグワーツの外側の世界設定もしっかりしているので、本当に現実世界の裏側にホグワーツがあるような気持ちにさせてくれるのです。

 この巻では、言葉だけですが「アズカバン」の名も登場しており、第3巻への伏線となっています。

 ハリー・ポッターシリーズはそれぞれ魔法学校の一年間を描いているので、一作一作ボリュームがあり、読み応え満点です。また、日本人にはなじみのない、イギリスの全寮制学校の生活が詳細に描かれているのも魅力です。
 テストに追われるのは日本でも同じですが、寮対抗戦とか、なじみのない設定もあり、それも面白いのです。

 生まれながらの才能だけでなく、ふつうの子どもたちと同じように学校でテストやレポートに追われ、いたずらをしてはしかられ、成績が落ちれば居残りを命じられ、どんなに宿題があっても部活はがんばる…… 等身大の少年たちの魔法学園生活と冒険の物語です。

 ハリーたちと同い年の子役たちを抜擢して、大人気映画シリーズも作られたので、まだの方はそちらもおすすめです。いまでは全員、立派な大人になりましたが、小さい身体に長いローブを着こんで杖をふる子どもたちは当時大人気を博しました。

 この作品の過去の物語である「ファンタスティック・ビースト」シリーズの映画は現在継続しているので、そちらで「ハリー・ポッター」に興味をもった方は、まずは原作からお読みになってみてください。

 かなり分厚いのですが、文章は読みやすく、難しい漢字には振り仮名がふってあるので、小学校中学年から。読み聞かせでも楽しそうです。

 「ハリー・ポッター」の前に「ミルドレッドの魔女学校」を読んでおくと、イギリスの寄宿舎生活について事前学習ができます。こちらは小学校低学年向けで、読みやすい本です。

 また、「ハリー・ポッター」がお好きなら、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの「大魔法使いクレストマンシー」シリーズもおすすめです。大人の方なら、まだの方はアーシュラ・K・ル=グインの「ゲド戦記」を。魔法学校ものの元祖を知ることができます。

 「ハリー・ポッター」を読んでいると、いつも、子ども時代の好奇心に満ちた、未知のものに挑戦するわくわくした気持ちがよみがえってきます。
 ハリーと同年齢の、子ども時代真っ只中のお子さまにも、かつて子どもだった大人にも、ひととき現実を忘れて楽しんでいただきたい名作です。

 ※この本は電子書籍もあります。

電子書籍には、メールやSNSに邪魔されない、読書専用端末がおすすめです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 恐ろしい敵が登場する物語ですが、最大の残酷シーンは冒頭のダーズリー家でのハリーへの仕打ちです。しかし、流血シーンや暴力シーンはありません。ひどいおじさんたちですが、ここを乗り越えたら、それほど辛いシーンはありませんのでご安心ください。児童書らしく、気をつけて書かれています。

 純粋に物語を楽しむだけでなく、深い内省も促す物語です。ダンブルドア校長が、すばらしい先生です。

 読後は、英国紅茶とかぼちゃのお菓子やチョコレートでティータイムを。もちろん、ミルクたっぷりでね。

 

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