【雨ふる本屋の雨ふらし】もう一つの世界の不思議な本屋さん。雨の季節にぴったりのファンタジック・ストーリー【雨ふる本屋シリーズ】【小学校中学年以上】

2024年4月10日

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雨ふる本屋の雨ふらし 日向理恵子/作 吉田尚令/絵  童心社

「雨あめ 触れふれ 雨ふる本屋」。図書館で秘密の呪文をとなえたら、ルウ子とサラは不思議な本屋さんへと導かれてゆきます……  そこでは思いもよらぬ冒険が待ち受けていたのでした。

この本のイメージ メルヘンファンタジー☆☆☆☆☆ 映像的☆☆☆☆☆ 本好きさん必読☆☆☆☆☆

雨ふる本屋の雨ふらし 日向理恵子/作 吉田尚令/絵  童心社

<日向理恵子>
児童文学作家。主な作品に「雨ふる本屋」シリーズ、「魔法の庭へ」(いずれも童心社)、「日曜日の王国」(PHP研究所)など。日本児童文学者協会員。

<吉田尚令>
1971年大阪府に生まれる。大阪市在住。書籍の装画や挿絵、NHK「みんなのうた」のアニメーションなどで活躍。

 

 初版は2012年。
 「雨ふる本屋」からはじまる、連続シリーズです。毎回一冊でお話は終わるようになっていますが、大きな流れがありますので、まずは「雨ふる本屋」から先にお読みになるほうがわかりやすいでしょう。

 「雨ふる本屋」のレビューはこちら

 さて今回のお話は……

 妹のサラと一緒に「雨ふる本屋」に出入りするようになったルウ子。
 しかし、今、「雨ふる本屋」には静かに危機が近づいてきていたのでした。

 ミスター・ヨンダクレという本を滅ぼす骨の竜が「雨むふる本屋」にやってくるかもしれないのです。

 すでに電電丸という本好きの雨童(あめわっぱ)がミスター・ヨンダクレに襲われていました。

 ルウ子たちはこの恐ろしい骨の竜から「雨ふる本屋」を守りきれるのでしょうか……?

 ……と、いうのがあらすじ。

 フルホンさん、舞々子さん、ホシ丸くん、ヒラメキ幽霊さんなどおなじみのメンバーのほかに、新キャラも続々登場。
 月ヶ原でお洒落なベッドでずっと眠っているグウタラ・アクビさん。
 ドードー組合のトコトワ女史など、みな個性的です。

 「雨ふる本屋」では、妹のサラとのギクシャクした関係に複雑な思いを抱いていたルウ子でしたが、今回ではそこはもうさわやかに卒業してサラと一緒に「雨ふる本屋」の世界を大冒険しています。

 成長したルウ子は本を読む楽しみだけでなく書く楽しみを知り、さらには創作する喜びや悩みも感じ始めていました。

 本を作り出すためには多くのことを感じ、喜び、楽しみ、悩みと、たくさんの想いが必要になることを知り始めたルウ子は、どんなにいい本でも細かな欠点を見つけ出してけちをつけてしまうミスター・ヨンダクレの態度に怒りを覚えます。

 本を愛する人……物語を楽しむこと、物語を書くこと、自分のなかのなかを表現することや他人の表現したものを受け取ることを愛するすべての人に。

 総ルビではありませんが、文章は読み易く難しい漢字には振り仮名が振ってあります。だいたい、小学校中学年向けですが、大人が読んでも癒されます。

 キラキラと水滴が輝く、淡いパステルカラーのメルヘンファンタジーです。
 雨の季節にぜひどうぞ。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素はいっさいありません。想像力をかき立ててくれる、ほんわかとした、摩訶不思議で美しいヴィジュアル派のメルヘンファンタジーです。HSPHSCの方のほうがより多くのものを感じ取れるでしょう。

 読後は絵が描きたくなるかもしれません。とても映像的なお話です。

 

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