【こまったさん】こまったさんとカレーをつくろう! おいしくて楽しいクッキングファンタジー【こまったさんのカレーライス】【小学校低学年以上】

こまったさんのお店は駅前のお花屋さんです。今日は店が暇なので早めに帰ってきていました。ところが、旦那さんのヤマさんから「今日は友だちをつれて帰るのでご馳走作ってくれ」と電話が……
この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ カレーライス☆☆☆☆☆ 不条理☆☆☆☆☆
こまったさんのカレーライス 寺村輝夫/作 岡本颯子/絵 あかね書房
<寺村 輝夫>
1928年東京生まれ。早稲田大学卒業。『ぼくは王さま』で第15回毎日出版文化賞受賞。1984年「独特のナンセンステールズで、子どもの文学の世界を広げた」功績により第17回巌谷小波文芸賞を受賞。2006年没。
<岡本颯子>
岡本 颯子(おかもと さつこ, 1945年2月24日~ )は、日本の絵本作家。洋画家・岡本唐貴の娘であり、漫画家の白土三平は実兄である。
長く愛される「こまったさん」のシリーズ、今回はカレーです。初版は1982年。昭和57年です。
今回のお話は……
こまったさんは駅前の花屋さんの若奥さま。
今日はお店が暇なので、先に家に帰っていました。
ところが、突然、旦那さんのヤマさんから電話で「今日は友だちを連れて帰るので、ご馳走を作ってくれ」と電話が。
こまったさんはカレーを作り始めます。
すると、ゴーグルをつけて玉ねぎをみじんぎりにしているあいだに、いつの間にか海の底へ。
なんとか玉ねぎを切り終わって、鍋を煮はじめるとヤマさんから再度電話があって「友だちが5人になったのでよろしく」と……
……と、いうのがあらすじ。
このお話、毎度のごとくの不条理ファンタジーなのですが、「旦那様が突然平日の夜に友だちや会社の同僚、部下を連れて帰ってくる」「いきなり人数が増える」は、ファンタジーではないんですね。
昭和ではよくある出来事だったのです。
もはや令和ではファンタジーかホラーでしかないことだと思いますが、昔はいまのように居酒屋チェーンやファミリーレストランなども少なく、夕方に立ち寄れる場所も少なかったことから、新入社員が退勤後に結婚している上司や先輩の家でごはんを食べる、と言うのはわりとあることだったのです。
ただし、今のようにサービス残業などはなく、たいていは五時退勤、残業すれば残業代はきちんと出る時代でした。
わたしも、父が仕事帰りに部下を家に連れてきて一緒に晩ごはんを食べた思い出がありますが、その時、窓の外がまだまだずいぶんと明るくて空が青かった記憶があります。
令和の今、激務のすえに旦那様が部下を自宅に連れて帰ってきたら、もはやホラー。大惨事になることは間違いないので、昭和はのどかだったんですねえ。
まあ、あんまりいい文化ではなかった気もしますが。
今回は、突然のお客さま、それも人数が増えると言う災難にこまったさんは「こまった、こまった」と言いながら、見事に対応します。
「こまった」と言うのはただの口癖で、こまったさんは有能な若奥さまです。
今回のこまったさんも、カラフルでかわいいファッション。
ああ、昭和はこういうビビッドカラー、流行りました、なつかしい。
スパイスたっぷりお野菜たっぷりのカレーは、疲れているときに元気をくれるし、なによりカレーは「家庭の味」です。
これからの季節は、カレーが一番ですね。
季節の変わり目、体調を崩しやすいとき、カレーで一発、気合を入れましょう。
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ネガティブな要素はありません。
カラフルで、明るく楽しいクッキングファンタジーです。
今の方が読むと、旦那さんがいきなり友だちを作れてくるのはとてもファンタジックに思えるでしょうが、昔は五時退勤があたりまえの時代、よくあることだったのです。
夜は親子でカレーを作りましょう。
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