【HSP】気がつきすぎて疲れる人のためのガイドブック【繊細さんの本】

2024年2月20日

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繊細さんの本  武田友紀/著  飛鳥新社

「気がつきすぎて疲れる」ハイリー・センシティブ・パーソンことHSP。このサイトでは、HSPがのびのびと生きていくための関連書籍を紹介しています。また、心なごむ児童文学や絵本をご紹介し、「HSPのためのブックガイド」としてのコメントも追加しています。本日は、武田友紀先生の「繊細さんの本」をご紹介。

繊細さんの本  武田友紀/著  飛鳥新社

 このサイトでは、エレイン・アーロン著「ひといちばい敏感な子」で知られるHSPについて、定期的に取り上げています。
 HSPとは、「ハイリー・センシティブ・パーソン」の略で、外界からの刺激を強く受けすぎてしまう人のこと。エレイン・アーロン博士によって提唱されました。5人に1人がHSPと言われており、最近は時々、メディアでも取り上げられるようになりました。

 5人に1人と言うと、全体の20%です。案外多いのです。
 繊細すぎる大人は「HSP」と呼ばれますが、繊細すぎる子供のことは「HSC」ハイリー・センシティブ・チャイルドと呼ばれています。暗闇や騒音、光、服の手触り、他人の感情などに人一倍敏感に反応する子供たちのことです。

 内向的で、非常に繊細で感じやすい部分がある一方、刺激を受けたときに激しい反応をするため、「怒りっぽい」とか「かんしゃく持ち」と言う誤解をされることもあります。

 HSPとHSCについては、アーロン博士のチェックリストがありますので、まずそれをお試しになってみてください。(わたしはほぼ全部でした)

 クリエイターやアーティスト、エンジニア業界にはこのHSPが非常に多く、周囲を見渡していてもHSPだらけです。音に敏感なHSPは、飲食店など店の音響が狂っていると入れませんし、光に敏感なHSPは晴れの日より曇りの日のおでかけのほうが好き、匂いに敏感なHSPは体調が悪いときはファストフード店の前を通れないなど、それぞれ、けっこう不自由な事情があったりするものです。

 しかし、晴れている日でも「今日は雨が降るかもしれない」とカンが冴えたり、微妙な機械の振動音を聞き分けて「故障しているかも」と気づいたり、平気そうにしている人を見て「あの人体調悪いかも」と気遣ったりと、普通の人が気がつかないことが気がついたりもします。

 現代社会は、非HSPを基準にしてシステムが作られていますので、HSPには生きづらい形になっています。そこになんとかして自分を「はめこんで」生きている状態と言うのが、今のHSPの生活だと思います。

 この「繊細さんの本」は、そんなHSPが現代社会でのびのびと生きてゆくためのヒントが書かれています。ここでは、この本に書かれているHSPの「五つの力」のご紹介と、自分自身の経験をふまえた感想を書きたいと思います。

繊細さんに共通する五つの力(項目のみ引用)

感じる力

 細かいことに気がついて、感じ取る力のことです。この本には「繊細さんは聞き上手」と書かれています。ありがたいですね。
 何かを見たときに小さな違いに気がつくのも、HSPの能力でもあります。商品チェックとか、検品とかで頼りになるタイプはたいていHSPです。(以下 個人の感想)

 わたし個人の話で言うと、たしかに「他人の話を聞く」のは大好きです。
 とくに、わたしの好きな話は「薀蓄話」なんですが、薀蓄って、嫌いな人もいるみたいですね。

 わたしは、七不思議とか豆知識とかそういうのが大好きなので、わかりやすく話してくれるなら何時間でも聞きたいものです。あと、自分の好きなことを熱く語っている人を見るのが大好きなのですが、どうしてそういう話を聞くのが好きなのかなと考えたとき、「相手が幸せそうだから」なんだと気づきました。

 これは、HSPの「身近な人には幸せでいて欲しい」と言う特性に通じているのかもしれません。

 そんな理由から、HSPは他人の自慢話や武勇談が嫌いでないことが多いのです。そういう話をしている時は、相手は幸せそうですからね。そして、愚痴を聞くのも嫌いではありません。なぜなら、話し終わったときにたいてい、相手は幸せそうだからです。

 では、HSPが苦手なのはなんでしょうか。これは、HSPならほぼほぼそうだと思うんですが

 暴力や流血の話
 残酷な話や悲惨な話
 他人のプライバシーやゴシップの話

 等だと思います。
 HSPは生まれつきの気質なので、なおる事はありません。しかし、環境によっては適応しようと無理をするあまり、感情を殺してしまったり、他人に合わせてしたくない話をしてみたり、違う人間になろうとしてしまうこともあります。

 無理をしないで自分らしく。それが、HSPにとって大切なことなんだと思います。

・考える力

 HSPは「深く」考えます。この本では、「考える深さ」について、詳しく説明してくださっていて、ありがたいです。(以下 個人の感想)
 常々思うのですが、「深く考える」「長く考える」は似ているようで違いますよね。

 だから、HSPが「深く」考えているとき、「同じことをいつまでも考えている」と言われると、「ちょっとちがうな」と感じてしまいます。
 また、これは、解きたい誤解としてあるのですが、「考えること」=「悩むこと」=「苦しむこと」ではないし、(ただ、うまい解決方法が見つからなければ、これらはイコールになることはあります)

 「深く考えること」=「心が弱い」では、決してないということです。

 しかし、周囲が気がつかない問題点にいちはやく気がつき、「どうしよう」と悩んだり、それを1人で抱えているのはよくないこととして、周囲のひとに「相談があります」と持ちかけると、「どうでもいいことをしょっちゅう悩んでいる心が弱い依存的な人」と言うレッテルを貼られる事は往々にしてあります。

 HSPの方は、自分が抱いている不安や危機感を論理的に他人に説明する必要が、非HSPよりもずっとあるのです。

・味わう力

 この本での「味わう力」は、文字通りの「料理の味」だけではなく、自然や芸術など、自分の周囲のあらゆるものから五感を通じて味わうことが出来るというものです。
 HSPは感受性が鋭いので、この分野ではHSPの独壇場だと思います。

 HSPは、哀しいことやつらいこと、悲惨なことを感じ取る力が優れていますが、その反対に、美しいものやかわいらしいもの、すばらしいのを感じ取れる能力も人一倍なのです。

・良心の力

 武田先生は「良心の力」と、たいへん優しい言葉を使って説明してくださっていますが、これはHSPの「他人の感情を引き受けやすい」能力とリンクしていて、「身近な人には幸せでいて欲しい」と言う気持ちだと思います。(以下 個人の感想)

 HSPだからといって、全員が聖人君子だったり、天使のように善良だというわけではありません。HSPだらけの業界で生きてきて、わたしが言えることのなかでこれだけは確かです。HSPは、全体の20パーセントもいるただの「気質」ですから、世の中でHSPだけが正しくて、悪いことをしているのは全員非HSPだ、とかはありえないことです。

 また、HSPが社会に適応しようと無理をするあまりに感情を殺してしまったり、周囲にあわせて乱暴な物言いを真似してみたりなど、してしまうことがないわけではないので、
 安易に「HSPはいい人ばかり」と言い切るのは難しいものなのです。けれど、HSPが合わない社会の枠のなかでがんばっているのは確かなので、武田先生の「励ましたい」と言うその気持ちがほんとうにありがたく感じます。

 イルセ・サン博士も著書の中で「HSPは他人の評価ではなく、福利にこだわる」と書いていますが、これをわかりやすく言うと「身近な人が自分をどう評価しているかではなく、身近な人が幸せかどうか(自分が身近な人の幸せに貢献できているかどうか)にこだわる」と言うことです。

・直感の力

 HSPは直感力にすぐれています。
 なにか問題が起きたときに、なんとなく「ここが原因なんじゃないかな」と言い当てたり、なんとなく「こうすればいいんじゃないかな」と言う、「なんとなく」気がつくことが多いのです。(以下 個人の感想)

 これを周囲の人が認めてくれるかどうかは、HSPが幸せに生きてゆけるかどうかに関ってくるので、かなり重要なポイントです。HSPの直感をすべて「気のせい」で片付けられてしまうと、HSPはもどかしくてフラストレーションがたまってしまいます。

 また「気づいたこと」を全部「自分の責任」のように感じてしまい、潰れてしまうこともあります。また、潰れないために「大爆発」を起こしてしまうこともあるため、そのような状態に自分を追い込まないことが、何よりも大切なのです。

 この本では、これらの「繊細さん」ことHSPの特徴を詳しく説明しながら、現実的な対処法や、人生に迷ったHSPが気持ちを整理するための「内省の方法」などが詳しく書かれており、入門編として最適。
 「自分はHSPかも」と悩み始めた人やその周囲の方々におすすめの内容です。

※HSPの日常生活についての現実的な対処法についてはこちら

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 終始優しい文体で、語り掛けるように書かれており、ネガティブな要素はいっさいありません。武田先生ご本人がHSPらしいので、HSPの気持ちに寄り添った内容になっています。
 また、ヘッドフォンやサングラスなど、外界からの刺激に対する現実的な対処法も書かれており、観念的な内容で終わらないところが、ありがたいと思います。

 HSPを貶めたり、不安を煽るような記述も無く、安心して読めます。
 唯一残念なのは表紙のデザインなのですが、気になってしまう方はお気に入りのカバーをかけましょう。(中の挿絵はとてもわかりやすく、素敵です。こういうのは著者やデザイナーが決めるわけじゃありませんから仕方が無いですね) ご家族に理解してほしい場合は、リビングのテーブルの上にそっと置いておくのも手だと思います。

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