【野ばらの村のおひっこし】子育て夫妻の理想の家は……?愛されるロングセラー【アドベンチャーシリーズ】【小学校低学年以上】
粉ひき小屋のダスティ・ダックウッドと結婚したポピー・アイブライトは三匹の赤ちゃんたちのお母さんになりました。けれど、粉ひき小屋は子育てにはたいへんな家で……(野ばらの村のおひっこし ジル・バークレム/作 こみやゆう/訳 出版ワークス)
この本のイメージ 動物ファンタジー☆☆☆☆☆ 美しい絵☆☆☆☆☆ 子どもの命名式☆☆☆☆☆
野ばらの村のおひっこし ジル・バークレム/作 こみやゆう/訳 出版ワークス
<ジル・バークレム>
1951年にロンドン郊外にあるエピングの森の近くで生まれた。ロンドンのセント・マーチンズ美術学院に学んだが、毎日ロンドン市内に通学するうちに、エピングの豊かな自然と生活をあらためて見直すようになり、それが“のばらの村のものがたり”シリーズとして実を結んだ。1981年第16回世界絵本作家原画展(至光社、丸善供催)みみずく賞、1982年度ボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞
今回ご紹介すのは「野ばらの村のおひっこし」。原題はBrambly Hedge : Poppy’s Babies.イギリスでの初版は1994年。日本語版は、かつて 岸田衿子先生訳「ポピーのあかちゃん」というタイトルで、講談社から1994年に出版されました。
一度絶版になり、出版ワークス様から2022年に出版されています。新訳は小宮由先生です。
「野ばらの村」シリーズは、どの順番で読んでも楽しめるのですが、順番通りに読みたい方は、まずは第一巻「野ばらの村のピクニック」からお読みになってください。
※「野ばらの村のピクニック」のレビューはこちら↓
今回のお話は、直接的には「野ばらの村のけっこんしき」から続いています。
「野ばらの村のけっこんしき」で結婚したダスティとポピーには三つ子のあかちゃんができました。
今回は、ダスティとポピーが子育てのためにサンザシの花荘にお引越しをするストーリーです。
※「野ばらの村のけっこんしき」のレビューはこちら↓
お話は……
ダスティ・ダックウッドと結婚したポピーは三匹のあかちゃんたちのママになりました。
ところが、ダスティの粉ひき小屋は、子ども部屋が最上階にあり、大人たちが登るのに一苦労。それだけでなく、下の階の粉ひき機の振動で赤ちゃんが起きてしまうのでした。
三つ子の赤ちゃんたちを寝かしつけるのにてんてこ舞いでぐったりしてしまったポピー。
そんなとき、きりかぶぐらのアップルおじさんとウィルフレッドは近所に「サンザシの花荘」と言う空き家があるのを思い出し、名案を思いつきます……
……と、いうのがあらすじ。
物語の季節的には夏の初め頃のお話なのですが明日は七五三ということもあり、本日はこの絵本をご紹介。
「野ばらの村」シリーズはジル・バークレムのロングセラー絵本シリーズ。
動物たちはほとんどディフォルメはなく極力リアルに近づけて描かれていますが、後ろ足で立ちイギリスの伝統的な農村の人々の服を着ています。
「ピーター・ラビット」シリーズのビアトリクスポターや「コーギビル」シリーズのターシャ・テューダーのようなクラシックでリアルな美しい絵が魅力の絵本シリーズです。
主人公は野ばらの村で暮らす野ねずみたち。
動物たちに二足歩行させて人間の服を着せて描く動物ファンタジーですが、ほのぼのとした愛らしさがあります。
また、大きな木の内側をくりぬいて作ったねずみたちの家の断面図が詳細に描かれており、これがドールハウスを見ているような楽しさ。これは、女の子だけでなく男の子も喜びそうなところです。
家の中の家具や調度品、そして動物たちの服はクラシックなイギリスの魅力がっぱい。食器のひとつひとつ、花の一輪一輪が丁寧に描かれています。
今回は、村のみんなが空き家だったサンザシの花荘をポピーに気づかれないように綺麗にリフォームします。子どもたちも大喜びで手伝い、大活躍。
大工仕事って、小さな子どもにとっては大冒険でもあります。
最近は古い家を自分でリフォームして暮らすのが密かな流行ですし、親子で読んでいるとわくわくしてくるかもしれません。
文章は読みやすく、漢字交じりですがすべての漢字に振り仮名が振ってある総ルビなので、五十音さえ読めればお子さまひとりでコツコツ読むことができます。ただ、文章の量が多いので小学校低学年以上におすすめ。もちろん、大人の和み本としても。
絵本としては読み応えがあり、詳細な挿絵は隅から隅まで興味を惹かれる要素があり、長く楽しめる絵本です。装丁も美しいので、読み終わったらリビングに飾っても素敵です。
お子さまのひとり読みに、読み聞かせに、そしてクリスマスやお誕生日のプレゼントに。
心癒される美しい絵本をぜひどうぞ。
繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)
ネガティブな要素はまったくありません。とにかく美しく、癒される絵本です。ピーターラビットやシルバニアファミリーがお好きな方に。
美しい絵本なので、大人が読んでも癒されます。お気に入りの飲み物と一緒に。
お誕生日や七五三など、節目のときにぴったりの絵本です。
商品ページはこちら←
最近のコメント