【大きな森の小さな家】開拓時代の少女の物語。テレビドラマにもなった児童文学の不朽の名作【ローラシリーズ 1】【小学校高学年以上】

2024年1月20日

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大きな森の小さな家

今から100年以上前、北アメリカのウィスコンシン州にある「大きな森」に、ローラは住んでいました。大好きなお父さん、お母さんと、姉のメアリー、妹のキャリーの五人家族でした。

この本のイメージ 大自然☆☆☆☆☆ 家族愛☆☆☆☆☆ たくましい☆☆☆☆

大きな森の小さな家 ローラ・インガルス・ワイルダー/作 こだまともこ・渡辺南都子/訳 講談社

 あまりにも有名な児童文学で、様々な出版社から様々なバージョンが出ています。
講談社からはかつて、いちばん古い挿絵を使用したクラシックな文庫が出版されていましたが、いまは、新しいイラストのバージョンが出ているようです。福音館と角川からも出版されています。

 創作の要素は入っていますが、基本的に著者のローラ・インガルス・ワイルダーの自伝的小説です。

 子供の頃、一度読んだと思っていたのですが、記憶が薄かったので、今回、あらためて読み直してみました。よくよく考えたら、冒頭で豚をさばくシーンが延々と続いたので、読むのをやめてしまったような気がします。

 今なら、読めます。ええ、読めますとも。

 開拓者時代の生活が詳細に描かれていて、電化製品の無い時代はこういうふうに生活していたんだな、と思うと面白く、子供の頃はなんで読むのをやめちゃったのかなと思うくらいです。(たぶん、手に取った時が小さすぎたんでしょうね) お母さんの作るごちそうや、パイやケーキはどれもおいしそうで、作ってみたいなあと思うものもたくさんあります。

 しかし、なまぬるい現代日本育ちのわたしには考えられない開拓者時代です。まず、ローラの家は、大きな森の中にぽつんと建っていて、幼いローラは家が二軒並んで建っているのを見たことすらないのです。
馬車でかなり離れたところにおじいさんの家があり、そこもさらに大きな木に囲まれた森の中なのです。

 ローラの家はお父さんが建てた頑丈な家で、牧場の囲いの中には熊も入ることが出来ません。このお父さんというのが現代の軟弱人間からは想像もできないサバイバル人で、作中で何度も熊を銃で倒しているのです。熊って、熊って、こういう環境だとほぼ最強の恐ろしい生物だと思うのですが。

大きな森の小さな家1

無邪気なローラが、「熊の肉はおいしいので大好き」と言うシーンがあり、熊を食品として認識する幼児にびびりました。このお父さんが実在したというのが驚異です。
そういう時代、そういう世界の物語なんですね……。

 物語は秋、豚を塩漬けにしたり、野菜を貯蔵したりして冬支度をするところから始まります。それから、雪に閉ざされた冬、家族のクリスマスや親戚のパーティーを楽しみ、冬を乗り越えて春を迎えます。この人たち、本当に何でも自分で作るので、昔のアメリカって全部自分で作ったんだなと言うのがわかります。

 そうそう、チーズの作り方も詳しく書かれています。『お父さんたちが「これからチーズを作る」と言い出すときは、仔牛が一頭死ぬときだ』、というのがリアルです。仔牛の胃から発酵に必要なラクレットを取らないといけないからですね。

 このように、非常に過酷な大自然と、その自然に寄り添って暮らすインガルス一家の暮らしが、季節の移り変わりとともに丹念に描かれています。

 特に激しい物語の起伏があるわけではないのですが、惹き込まれてしまい、あっという間に読みきってしまいました。

「インガルス一家の物語」は全部で七冊、その後は「ローラの物語」が四冊出版されています。

 作者のローラ・インガルス・ワイルダーが、「大きな森の小さな家」を書いたのは64歳の時でした。(翌年に出版)その後、あれよあれよと言ううちにベストセラーになり、90歳までの間に、9巻にわたる大河小説を書き続けました。
64歳からというのがすごいですよね。そういえば、ターシャ・テューダーが庭を造り始めたのは50歳を過ぎてからでした。

 したいことをするのに、年齢は関係ないのかもしれません。もちろん、年齢に応じたやり方や、体力気力へのいたわりは必要だとしても。オバハンになってからのほうが気楽にやりやすいこともありますしね。

 児童小説ではありますが、大人のほうが励まされることが多いかもしれません。お子様がお読みになる時は、時代背景などを説明してあげたほうがいいでしょう。

 家にある電化製品すべてに感謝したくなる本です。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 動物をさばくシーンがあるので、読めない人はいるかしれません。そういうものがあるのだな、と身構えていれば大丈夫なら、おすすめです。開拓者時代の季節の風物や、文化を知ることができます。もう、現代では書けない読み物なので貴重です。ローラが子供らしく様々なことを面白がれるので、ローラ視点で読むと当時の文化を楽しく学ぶこともできます。

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