【ケイティのふしぎ美術館】楽しくてためになる!美術館をめぐっている気持ちになる、わくわくファンタジー絵本です。第5巻【ケイティのゆかいな水あそび】【4歳 5歳 6歳 7歳】

2024年3月27日

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ケイティのゆかいな水あそび ケイティのふしぎ美術館 5  ジェイムズ・メイヒュー/作 西村秀一/訳 結城昌子/監修 サイエンティスト社

暑いある日、ケイティとおばあちゃんはプールに行こうと出かけましたが、残念ながら満員。涼しさを求めて美術館に入りました。すると……

この本のイメージ ファンタジー☆☆☆☆☆ 知育☆☆☆☆ 点描派☆☆☆☆

ケイティのゆかいな水あそび ケイティのふしぎ美術館 5  ジェイムズ・メイヒュー/作 西村秀一/訳 結城昌子/監修 サイエンティスト社

<ジェイムズ・メイヒュー>
1964年イギリス生まれの絵本作家。メイドストン美術大学。絵画、オペラ、バレエに造詣が深く、その魅力を伝える絵本を制作している。

<西村秀一>
1984年山形大学医学部卒業後、CDC(米国疾病対策センター)インフルエンザ部門留学、国立感染症研究所主任研究官などを経て、現在は仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター長。研究の傍ら、医学関係の翻訳のほか、絵本翻訳も手がける

<結城昌子>
武蔵野美術大学卒業。アートディレクター、アートエッセイスト。1993年「ゴッホの絵本うずまきぐるぐる」(小学館)を刊行して以来、子どもとアートをつなぐ様々な活動を開始。ワークショップや講演、小中学生を対象とした各種コンクールの審査などを続けている

 面白くてためになる、「ケイティのふしぎ美術館」シリーズ第5巻、「ケイティのゆかいな水あそび」です。原題は、KATIE and the Bathers. 本国初版は2000年。日本語版初版は2012年です。この本のほうが本国では「ケイティと星月夜」より前に出版されていたんですね。

 今回の絵本は、「点描派」がテーマ。
 点描は、ジョルジュ・スーラ(1859~1891)が編み出した画法で、絵の具をパレットで混ぜるのではなく、チューブから出したままの絵の具を原色の点にして隣り合わせて置いてゆく技法です。
 えもいわれぬ透明感が出るので、一世を風靡したらしいのですが、あまりにも労力がかかるため、広まらなかったようです。

 今回登場する絵画は、ジョルジュ・スーラの「アニエールの水浴」(イギリス・ナショナルギャラリー)「グランドジャット島の日曜日の午後」(アメリカ・シカゴ美術館)「オンフルール港の入り口」(アメリカ・バーンズ財団美術館)、カミーユ・ピサロの「洗濯物を干す女」(フランス・オルセー美術館)、ポール・シニャックの「フェリックス・フェネオンの肖像」(アメリカ・ニューヨーク近代美術館)です。

 お話は……

 夏の暑い日、ケイティとおばあちゃんは、水遊びをしにプールに行くことにしました。ところが、プールは満員。それで、美術館に涼みに入ったのです。

 美術館のソファでおばあちゃんはいつものようにうとうと。
 ケイティは、絵の中に入って遊び始めます。

 「アニエールの水浴」の中に入って水遊びをしたのはいいけれど、川の水が美術館に溢れ出します。そして、「グランドジャット島の日曜日の午後」に入って女の子とレディを連れ出し、一緒に水遊びをしたあと、「オンフルール港の入り口」からボートを借りて……
 水びたしになった服やドレスは、ピサロの「洗濯物を干す女」に干してもらいます。

 けれど、大洪水になった美術館の中はそのままです。困ったケイティは、フェリックス・フェネオンに頼み込みます……

 ……と、いうのがあらすじ。

 今回のケイティは、いままでとは段違いにやりたいほうだい。
 さすがにこの大惨事はどうにならないのでは、と思いましたが、最後にミラクルが起きて、なんとかなりました!

 なかなか無茶をする女の子です、ケイティ。しかし、この無敵の愛らしさは通常運転。
 そして、ジェイムズ・メイヒュー先生の芸術への愛が炸裂していて、あいかわらず名画の再現度がすばらしい。

 今回は、点描派という画風が1884年頃に生まれていたことを知りました。(勉強になる……)
 スーラは、この独自の画風で一時代を築きましたが、若くして病気で亡くなったそうです。

 そうですよね、点描って身体に負担がものすごくかかります。わたしの若い頃も、繊細な画風として漫画少女たちのあいだで一時期流行しましたが、とにかく、目と肩と腰に負担がかかるのですよねえ。紙一面を点描で描こうとしたら、命を削るレベルです。

 スーラさんは、こんな美しい絵を描いていた方なのに、長生きできなかったんですね……。

 昔の芸術家って、生活が苦しかったり、一部の絵の具に有毒成分が含まれていたり、体力の限界を無視して描き続けたりして、若くして亡くなられている方が多く、美しい絵と裏腹に生涯を知ると哀しい気持ちになります。

 でもそうだからこそ、時を越えて人の魂をゆさぶるのかもしれません。(小並感)

 ケイティのシリーズは、かわいくて、ファンタジックで楽しくて、そして、文章は読みやすく総ルビです。また、美術に関する解説も詳しく、知育効果もあります。文章量は少ないので、読み聞かせにもぴったり。

 小さなお子さまへの知育本としても、大人の癒し本としてもおすすめの、アートファンタジーです。

※冒頭の絵は、カミーユ・ピサロです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネガティブな要素は一切ありません。安心してお楽しみいただけます。読後は、美術館のHPなどをサーフィンしてみるのも楽しいかもしれません。

 絵の大好きなお子さまにおすすめの絵本です。

 

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