【ドリトル先生】ドリトル先生100周年!動物と会話できるドクターの物語、第二弾。漂う島へと冒険しよう。【ドリトル先生航海記】【小学校中学年以上】

2024年1月26日

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ドリトル先生航海記 
ヒュー・ロフティング/作 井伏鱒二/訳 岩波少年文庫
ドクター・ドリトル 原作

靴屋の息子、トミー・スタビンズはタカに襲われてたリスを助けます。リスは足が折れていたので、なんとかして治してあげたいと思っていました。そんなとき、猫肉屋のマシュー・マグが不思議なドクターの話をしてくれたのです。2020年、「ドクター・ドリトル」として映画化です。

この本のイメージ 不思議☆☆☆☆☆ 冒険☆☆☆☆ 動物いっぱい☆☆☆☆

ドリトル先生航海記  【ドリトル先生シリーズ 2 】  ヒュー・ロフティング/作 井伏鱒二/訳 岩波少年文庫

<ヒュー・ロフティング> 1886〜1947年。イギリス生まれ。土木技師を経て、1912年アメリカで結婚し、文筆活動に入る。著書にドリトル先生シリーズ。

 ドリトル先生の物語、第二弾です。
 二冊目の「航海記」は、ドリトル先生の助手となる、トミー・スタビンズが初登場します。
今後 彼は、シャーロック・ホームズシリーズのドクター・ワトソンのように、物語の語り手になります。

 主人公が突拍子もない人の場合、こういう、「ふつうの人間代表」みたいなナレーターがいると、すんなり物語を楽しめますよね。「いいや、そうじゃないだろう」みたいな事を、当然の事のように主人公が言い出しても、冷静にツッコミを入れてくれますし、主人公が信じられない大逆転を起こしたときは、読者と一緒に大喜びしてくれるのがこの立場のキャラです。

 ドリトル先生は、この手の学者さんあるあるの、身の回りの世話が自分でサッパリ出来ない人なので、トミーが登場してくれることでかなり助かることになります。

 ある日、トミー・スタビンズは、タカに襲われそうになったリスを助けます。リスは足を骨折していました。困っているトミーに、猫肉屋のマシュー・マグが動物語を話せるドリトル先生のことを教えてくれるのです。

 傷ついたリスを助けたくて、ドリトル先生のお屋敷まで行ったトミーでしたが、あいにく、先生はアフリカに行っていて留守でした。帰ってくるのを心待ちにして、お屋敷に通っていたトミーは、ある雨の日に小柄な紳士にぶつかります。
それが、ドリトル先生でした。

 濡れた服を乾かさせてもらい食事をさせてもらったあと、ドリトル先生はトミーの家に向かいます。

 昔から、ドリトル先生好きの友達どうしの中で「ドリトル先生がリスの診察をするまでが長すぎる」と話題のシーンです。ふたりの交流が丁寧に書かれているのはいいのですが、「先生、リスは?リスは?」と言いたくなるくらい、長い。先生、はやくリス治してあげて!

 翌日、トミーは先生の弟子になりたくて、ドリトル屋敷を訪ねていきます。(リスは無事、治療してもらいました)
オウムのポリネシアに出会ったトミーは、「ドリトル先生の弟子になりたい」と申し出ると、まずはポリネシアの生徒になって、動物語をおしえてらうことになります。
(動物語を知らないと、ドリトル先生の周りの動物と会話が成り立ちませんからね)

 ドリトル先生航海記は、六つの部に分かれており、第一部と第二部は先生が航海に出かけるまでの準備の話。第三部は航海の途中で立ち寄った街の話、四部以降は航海の目的地の話となっています。

 航海に出る前の話も面白く、第二部の世捨て人のルカを助けるために、裁判に犬の証人を出す話は盛り上がります。この手の話だけで一作できるくらいのエピソードです。

 第三部は、闘牛が盛んな街にドリトル先生が到着し、闘牛をやめさせてしまう話で、ケネス・グレーアムの「おひとよしのりゅう」と似た展開です。同時代の人なので、おそらく、時代的にそのような気持ちにさせられることが多々あったのでしょう。(だいたい、第一次世界大戦の直後あたりだと思います)

 第四部以降は、航海の目的地、漂う島「クモサル島」での冒険になります。
そこで、先生はインディアンの博物学者、ロング・アローに出会います。

 その後、ドリトル先生は、数奇な運命の末に王様にまでなっちゃうのですが、最後は巨大なカタツムリに乗ってイギリスに戻ってきます。

 100年前に書かれたファンタジー小説なので、ネイティブアメリカンについての記述など、まちがっている部分は多々あります。が、当時の文化を知ることができますし、動物がたくさん出てきて、動物好きにはたまらない話だと思います。それに、今回は人間のトミーがいるので、人間に必要な解説もしてくれます。

 個人的には、ミステリー仕立ての第二部が大好きなのですが、クモサル島についてからの物語もたのしいので、ぜひ、お手にとって読んでみてくださいね。
なんとも言えないレトロな雰囲気と、ほのぼのファンタジーの絶妙なハーモニーです。

繊細な方へ(HSPのためのブックガイド)

 ネイティブアメリカンについて、ちょっと勘違いした記述があります。100年前の作品と言うことを考慮してお楽しみください。時代背景を知るきっかけにもなりますし、それを抜きにしても上質なファンタジーです。濃い目のイギリス紅茶をミルクティーにして。ショートブレッドやジンジャービスケットをお供にぜひどうぞ。

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